創刊号に寄せて

  このたび『医療魂』という素晴らしい雑誌が創刊されました。多くの方々に末長く愛されますよう、心より応援したいと思っております。
  そもそも私は、「魂」という言葉が大好きです。荒魂、和魂、幸魂、奇魂 ・・・ 日本には古くから、たくさんの魂がありました。そして昭和20年の終戦まで、大日本帝國の根本には、大和魂がありました。
  ところが、戦後の日本を占領・管理するために設置されたGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)は、日本が二度と立ち上がれないように、非軍事化・民主化を押し進め、不平等な憲法を押し付けました。さらには、天皇を頂点とした精神的な団結力が、日本人を戦争に突き動かしたと考え、日本人の精神を改革するには神社を破壊すべきだ、という過激な意見まで飛び出しました。
  この時、英語が堪能で、後に明治神宮宮司を務めた私の父が、全国の神社を代表して皇居前にあったGHQまで談判に赴き、こう訴えました。
  「you  can  occupy  our  country  however.  You  cannot  occupy  Japanese  spirit.」
  (たとえ領土を占領できても、日本人の精神を占領することはできない)
  父は、日本人の精神(spirit)である天皇制と神社を守ったのです。断っておきますが、私は決して、右翼的な思想の持ち主でも、国粋主義者でもありません。自分の国を愛する一人の日本人として、私たちの精神の根本を形成する魂の大切さを、改めて感じて欲しいと願っているのです。
  医師になって50余年、私はすぐれた医師であり続けるために、ほぼ毎日、朝から晩まで土日も祝日も休まず医療のために尽くしてきました。
  すぐれた医師に求められるものとは何か。それは高い医療技術であり、幅広い知識であり、絶え間ない勤勉性であり、人のために尽くす奉仕の精神です。
  では、どうすればすぐれた医師になることができるのか。それには、1に努力。2に努力。3に努力。ただひたすら、努力あるのみ。才能があるのか、ないのかは、些細な問題でしかないのです。